【まえがき】
読書感想文ならぬ、アニメ感想文。
*今回劇場版は関係ありませんが、写真がこれしか無かったので…
今回は、
漫画・アニメにおける『悲劇』
について思うところがあり、感想文を書きました。
従って、あまり明るい内容ではありません(笑)
ですが、漫画・アニメがお好きな方であれば、きっと共感いただける内容だと思っております。ぜひご覧ください。
【本文(序)】悲劇の定義
いきなりですが、私は、悲劇を好みません。
読んでいて、見ていてしんどくなるからです。
特に、私は登場人物に深く感情移入してしまうタイプなので、心が持っていかれることもしばしばあります。
ですので、最近は、
『ぐらんぶる』
『SPY×FAMILY』
『かぐや様は告らせたい』
『斉木楠雄のψ難』
といった、
全くもってしんどくないコメディばかりに手を出しております。
※かぐや様の体育祭あたりは中々しんどかったですが…
しかし、やはりそれらだけでは物足りない。
それは、
物語において『悲劇』、もっといえば、主要なキャラの『死』が物語にもたらすものの大きさを知っているからです。
悲劇が主人公を成長させる。
悲劇が敵の覚悟を突きつけてくる。
悲劇が世界の理不尽さを伝え、問いかけてくる。考えさせられる。
そんな場面を何度も見てきたからです。
その度しんどくなりながらも、
主人公の乗り越えようとする姿に勇気や元気を貰えたり、
答えのない問いに真剣に思考を巡らせることで「考える」ことの大切さを実感したり、
漫画・アニメから大切なものを得る瞬間は、実は悲劇にまつわる瞬間が多いのではないか、そう思います。
さて、物語の構成上不可欠だった悲劇として思い出さずにいられないのは、個人的には
・『鋼の錬金術師』のヒューズの死
・『NARUTO』の自来也の死
です。
ONE PIECEが好きな人は、エースが入ってくるのかな。
上で挙げた2つの死は、とにかく衝撃の度合いも大きく、予想もしていなかったので、しばらく放心状態にさせられたのを覚えています。
とはいえ、今回の本題ではないので、さらりといきますが、
ヒューズの死は、後のマスタングの数々の名場面を生み出し、マスタングvsエンヴィーを、ひどく心に刺さる戦いとしました。
自来也の死は、言うまでもなくナルトを成長させ、ペインと心を通わせる大きな源となりました。
もっと語りたいですがこのあたりにしておきましょう。
【本文(破)】圧倒的なリアリティ。そして、感情、崩壊。
さて、本題に入ります。
物語における悲劇の重要性、それを最も感じたのは、上記2つの死よりも、PSYCHO-PASSシーズン1の第11話、船原ゆきが殺される場面です。
PSYCHO-PASSをご覧になられたことのない方が、見てみようと思った時のために、船原が殺されるということだけにネタバレを留めておきます。
圧倒的に作り込まれたストーリー。
この場面を挟んで、主人公の常守朱は別人のようです。
2周目以降見た感想として、「最初の方の常守朱あんまり好きじゃない」という感情を抱きましたが、
それは、この場面の後、大きく成長する常守朱の姿を知っているからこそ、その姿と対比させてしまったことで、やや過剰に感じてしまったのでしょう。
それほどに、船原ゆきの死と、そこで問われた『問い』が常守朱を成長させた。
そう私には感じられました。
本能的に目を背けたくなる展開。
それでも、この場面で『正義』とは何か問いかける『悪役』の姿は美しいとさえ感じられ、目が離せない。
常守朱に感情移入して見ていたら、その問いはとても鋭く、心に刺さる。
そして、目を奪われている内に、流れるように友人が殺され、絶望が押し寄せる。
ここまで感情を揺さぶる場面に、なかなか出会えるものではありません。
ところで、
船原ゆきは、ヒューズや自来也に比べて主要なキャストとは言えません。
ですが、その死が最も印象深いのは、
『リアリティ』
にあるのだと思います。
ヒューズや自来也の死は、確かに悲しかった。
でもそれはやはり物語の中の世界のことでしかなくて、リアリティがなかった。
いくらマスタングに感情移入しても、いくらナルトや綱手に感情移入しても、「彼らの世界の中で」悲しむに留まったように思うのです。
対して、船原ゆきの死が常守朱に突きつけたものは、常守朱を通り越して現実世界の自分に突き刺さったように思うのです。
「同じ場面、お前ならどうする?」
「生死に関わらずとも、本質は同じ場面に出くわさないとでも思っているのか?」
「正義とは何だ?」
そんなことを私自身に問われているような、圧倒的なリアリティ。
脱帽です。
【本文(急)】言い換えれば、まとめ。
さて、長々と語ってまいりましたが、PSYCHO-PASSで描かれた悲劇は、
・主人公の大きな成長をもたらした
・圧倒的なリアリティをもって現実へ侵食してくる
という点で、最も印象に残るものでした。
やはり、『ぐらんぶる』だけ見ていては出会えない、得られないものが『PSYCHO-PASS』にはある。その逆も然り。
月並みな締めで恐縮ですが、1つのカテゴリにこだわらず、幅広い作品に触れることが自分を豊かにしてくれるのだと思わずにいられません。
※PSYCHO-PASSは本当にオススメの作品です。個人的に、日本のアニメの最高峰ではないかとすら思っています。しんどくなるのは間違いない作品ですが、その分「見て良かった」と思えるはずです。特に、シーズン1の11話は、心してご覧ください。そして、存分に「持っていかれて」ください。