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◆【趣味回】鋼の錬金術師『涙』の名場面④

●まえがき

後半になるにつれて、登場キャラクターが『強く』なって、泣かなくなりました。

 

泣いている余裕さえない、とも言えますが。

 

そんな激動の中で描かれた『涙』。

残すところ、あと2回です。

 

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●笑顔にさせるには、優しすぎる言葉。 (17巻)

ホーエンハイムの回想シーン。

 

幼いエド・アル、そしてトリシャと家族写真を撮ることになるが、普通の人ではない、『化物』であるという自覚と事実が、ホーエンハイムを躊躇わせる。


そんな姿を見て、トリシャは、

 


「私だってね いつか化物みたいなしわくちゃのおばあちゃんになるわよ」

「でもね どんな姿になってもいつでも皆で一緒に笑って写真を撮りたいの」

「だからずっと家族でいて 自分から距離を置いて遠い存在になったりしないで」

「『化物』だなんてそんな言葉で自分を傷つけないで」

「あなた」

「笑って」

 

そして切られるシャッター。

『涙』が止まらないホーエンハイム

 


トリシャの包み込む様な優しさ。
1番言われたい言葉を、かけてあげられるなんて。

 

ホーエンハイムに感情移入して読んでいれば、泣かずにはいられない。

 

ホムンクルスのせいとはいえ、大勢の命を犠牲にしてこの世に生み出された人ならざる自分。その犠牲に対する呵責にずっと苛まれてきた。そんな自分には家族を持つ資格なんてない。」

 

そう思ってきたであろうホーエンハイムに対して、トリシャが選んだ言葉は

 

「ずっと家族でいて」

 

ホーエンハイムが普通の人に戻れると信じての言葉。

笑顔で写真に写ってもらうには、優しすぎるよ。

トリシャの優しさと、それに感動の涙を流すホーエンハイム

間違いなく名場面です。

 


●大切な者が犠牲となっても、涙を流しながら戦い続けるしかない。(24巻)

ブラッドレイに瀕死に追い込まれるフー。

 

「休みを…いとまをいただきましょう」

 

と言って、リンを殴り離れるフー。

 

「硬化しろグリード!!若の身体を守レ!!」

 

「若… 王になりなされよ… この老いぼれはここで… 永遠のいとま… 頂戴いたす!!!」

 

と言ってブラッドレイへ決死の特攻。

だが、それも防がれる。

 

「この命かけても…傷ひとつつけられぬというのか…!!」

 

そのフーをブラインドに、ブラッドレイに剣を突き立てるバッカニア。

 

「じいさん 地獄への道行き 付き合ってやるぜ」

 

その一部始終を見届けたリン/グリード。

『涙』を流しながら、ブラッドレイへと殴りかかる。

 

泣いているのは、リンか。それともグリードか。
いや、その両方だ。

 

仲間を失うことがどれだけ辛いことなのか、グリードもこの時点では既に理解しているのだ。

 


目の前で大切な仲間が犠牲となるのを、ただ見ていることしか出来なかった悔しさ。

自分が倒せていれば…という無力感。

大切な仲間を葬ったブラッドレイへの怒り。

『強欲』の感情しか持たないはずのグリードが、リンの感情と結びついて『涙』を流した。

 

自分への怒りと、ブラッドレイへの怒り。

その2つを爆発させて、ブラッドレイへ挑むグリード。

フーを失った悲しみに浸る暇はないのだ…

 

 

●あとがき

今回取り上げた2つの『涙』は対照的でしたね。

ホーエンハイムの涙は、トリシャの優しさが心に沁みて。

グリードの涙は、フーを失ったことによる悲しみと怒りで。

 


ホムンクルスたちは、それぞれ7つの大罪になぞらえた感情しか持ち合わせていません。
ブラッドレイも、憤怒の感情しかないと語っています。

そんなホムンクルスたちが、物語が進むにつれて、本来持っていない感情を抱くようになるのです。

 


グリードはそれが顕著でした。

『強欲』は、他の感情さえも欲したのかもしれません。

そして、そうして得た感情によって、『満たされた』最期を遂げるのです。

 


同化したリンの存在が大きかったとは思いますが、『人ならざる者』として現れながら、段々と人間らしくなる姿が、グリードが最も好きな理由です。